ある日本料理店にて
今日は休みを取って「分とく山」に行った。
ずっと前から予約がとれずにいたのだが、やっと今日の17:00から18:40までで
予約が取れたため、会社を休んで食事ということになったのだ。
奥に通されると、カウンター席の一番手前に座った。
「食べられないものはありますか? 」
自信を持って答える。
「ありません。なんでも食べます。」
美味しかった。なんとも美味しかった。
メニューを紹介できないのが、残念だ。何故紹介できないか。
私の味覚と語彙では表現できないからだ。中途半端はよくないから紹介しない。
既に食事を始めていた、派手な黄色のシャツを着た50前後の男性一人と女性二人。
「滝先生は最近いらっしゃいました? 」
滝先生とは、どうやらこの店のなじみの人らしいが、その名前を何度も何度も
出して、店の主人に話し掛けていた。
また、メニューの後半になると、男性は一品一品食べるたびに、
煙草をすぱすぱ吸っていた。大声でこう言いながら。
「いやー、すいませんねえ、煙草吸っちゃって。」
んんんー。
コースの二三品目がきた頃に入ってきた、品のいい70前後のご夫婦。
終始にこやかに、美味しそうに、一品一品楽しんでいる。
男性のほうは、ん、なんか見たことがあるぞ。テレビで。
政治家? 政治関係の評論家??
最近は見かけないが、数年前によくテレビで見かけた気がする顔...。
結局思い出せなかったが、終始にこやかに、静かに食事を楽しんでいる
その姿に、夫婦の理想を見た気がした。
コースも終わりに近づいたころに入ってきた、
紺のブレザーを着た40前後の男性と20代前半の女性二人。
「食べられないものはありますか? 」
ちょっと考えて女性が答える。
「えーっと、蟹と海老が食べられません。あと、マグロも。」
「うなぎもだめです。」
もったいない...。
すっかりいい気分になって、席を立った。
「ごちそうさまでした。」
この店の御主人は、NHKの今日の料理にも出てたりもする人だ。
終始にこやかに接客するそのさまは、すがすがしい。
食事の最後に出たじゃこごはんは、残った分をお土産につめてもらった。
美味しかった。
三階のエレベーターに乗ると、ご主人が一階のボタンを押してくれた。
一階に着くと、そこにもご主人がいた。
「ありがとうございました。」
すばやい。
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