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それから30分ほどたっただろうか。もう店は近いはずだ。 私はその店に初めて行くので、詳しい道は知らない。運転手は、大きな道から 右に入って、少し行ってまた右に入り、カーナビで光っている店へと到着した。 「こちらですか、お客さん?」 店を覗き込むと、Y氏の姿は見えず設置したはずの機械も見えないので、別の店だと 気づく。 「違うみたいなんですが。」 と言って、もう一度地図を見せ、カーナビで確認。どうやらすぐ近くにもう一店 あるようだ。 「こちらですね。」 運転手は、カーナビの画面を横目でちょこちょこ確認しながら、もう一つの光る店に 向かった。 |
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ん? なんか雰囲気がおかしいぞ。道が狭い。えらく住宅地の奥へ来てしまったようだ。
こんなとこに店はあるのか?? 「あれー、おかしいなー。わからんなー。よわったなー。」 運転手は、カーナビとにらめっこしながら、細い道を行ったり来たりしている。 カーナビは細かい道は不得意だ。しょうがない。GPSの精度はそんなによくない。 なのに運転手は、画面上の自分の車の位置と方向を絶対だと思っているようで、 交差点に入ると、右に曲がってみては方向がずれて、バックして、 左に曲がっては、やっぱりずれてて、バックして戻って、 真っ直ぐ行っては、画面の道じゃないところに入ってしまって、戻って...。 そんなこんなで、迷いにまよってやっと店の看板が見えてきた。 「お客さん、あれですか?」 店を覗き込むと、Y氏の姿は見えず設置したはずの機械も見えないので、別の店だと 気づく。 さっきと同じ店だ.........。 「ここじゃないです。さっきの店ですよ...。」 「あれー、おかしいなー。わからんなー。よわったなー。」 |
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もう一度、カーナビで確認。すぐ近くにもう一店ある。 「あれー、おかしいなー。わからんなー。よわったなー。」 よわっているのは、こっちである。 運転手は、首をかしげながら、カーナビとにらめっこしながら、また細い道を 進み出した。 ん? なんか雰囲気がおかしいぞ。またえらく住宅地の奥へ来てしまったようだが、 さっきも同じ所を通ったぞ...。 「あれー、おかしいなー。わからんなー。よわったなー。」 よわっているのは、こっちである。 運転手は、カーナビとにらめっこしながら、また行ったり来たりしている。 またどれくらい時間が経っただろうか。やっと店の看板が見えてきた。 「お客さん、あれですよね?」 店を覗き込むと、Y氏の姿は見えず設置したはずの機械も見えないので、別の店だと 気づく。 また、さっきと同じ店だ.........。 「ここじゃないです。またさっきの店ですよ...。」 「あれー、おかしいなー。わからんなー。よわったなー。」 もう何も言葉もない。 |
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もう一度、カーナビで確認。すぐ近くにもう一店ある。 「あれー、おかしいなー。わからんなー。よわったなー。」 よわっているのは、こっちである。 運転手は、首をかしげながら、カーナビとにらめっこしながら、車を進めた。 カーナビで目的の店が光っている。ここを右に曲がれば行けるのではないか? っと思った瞬間、運転手は左に曲がった。 「なんで左なんですか。カーナビの使い方わかってんですかっ!?」 とうとう、切れてしまった。しかし、使い方とかそういう問題ではない。 ご飯茶碗を持つ方が左で、お箸を持つ方が右なのである。 「あれー、おかしいなー。わからんなー。よわったなー。」 運転手は慌てて引き返し、右に曲がった。 「こちらですか...、お客さん?」 店を覗き込むと、Y氏の疲れきった姿が見えた。設置した機械も見えた。この店だ。 「ここです...。」 「すいません...。お金はいいです。」ブオォーーーン......... 運転手は、逃げるように走り去った。 私の手には、あと金額を書くだけのタクシーチケットが残った。 書いとくんじゃなかった.........。 |
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今にして思えば、運転手もかわいそうだ。しかし、あの状況は困った。
私はこの日の 1時に広尾入りして、19時まで二子玉で待機する予定だったのだが、
前日、18:30に呼び出されていたので24時間勤務になる予定だったのだ。
そんなひにこの出来事はこたえた。
しかし、三回も間違えるとは、漫画のようだった。